海域アジア・オセアニア研究
Maritime Asian and Pacific Studies
東京都立大学拠点

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2024年1月20日(土)講演会を開催しました:「観光開発初期グアムにおける日本人コミュニティの形成 ─先住民・移民関係を中心に─」長島怜央(東京成徳大学)

2024年1月20日(土)講演会を開催しました:「観光開発初期グアムにおける日本人コミュニティの形成 ─先住民・移民関係を中心に─」長島怜央(東京成徳大学)

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2023.12.25

お知らせ日本語研究活動


海域アジア・オセアニア研究プロジェクト東京都立大学拠点では、2024年1月22日(土)に講演会を開催いたしました。

詳細は以下の通りです。

 

日時:2024年1月20日(土) 16:00-18:00

会場:東京都立大学南大沢キャンパス1号館104教室

 

講演者:長島怜央(東京成徳大学)

 

講演タイトル:観光開発初期グアムにおける日本人コミュニティの形成─先住民・移民関係を中心に─

 

講演要旨:

 グアムでは1960年代末以降に観光開発が本格的に進められ、観光客数は70年には10万人、88年には50万人、94年には100万人を超え、70年代末以降は全体の7割以上を日本からの観光客が占めるようになった。そのグアムの観光産業の発展において一翼を担ったのが、現地の日系企業や日系人・日本人である。60年代末から70年代半ばにかけて、日系のホテル、旅行会社、レンタカー会社、保険会社・代理店、飲食店、免税店などがつぎつぎとグアムに進出した。そして、グアム在留邦人の増加に伴い、70年代初頭には現地に沖縄県人会や日本人会が結成・設立され、日本人コミュニティの基盤ができあがった。

 しかしながら、日本とグアムの関わりはこうした観光開発によって始まったものではない。1868年(慶応4年)のスペイン領グアムへの農業移民や20世紀初頭に日本からグアムに渡った事業家をはじめ、19世紀後半以降に多くの日本人がグアムに渡った。そして、20世紀前半にミクロネシアの島々が日本の南洋群島として統治されるなか、第2次世界大戦中に日本はアメリカ領グアムを32か月間占領した。戦後の先住民チャモルはこの日本占領時代のことを「虐殺と強姦の時代」、それを終わらせた米軍による奪還を「解放」と記憶してきた。すなわち、60年代末以降の日本人によるグアム観光開発は、このような戦争の記憶に関連した現地社会の対日感情のなかで進められたのである。

 本発表は、現地在住日本人へのインタビュー調査などに基づいて、グアムの観光開発に伴う日本人コミュニティの形成を現地社会および先住民チャモルとの関係を中心に見ていく。とくに、観光産業のなかの日系エスニック・ビジネスの展開、観光とセトラー・コロニアリズムや新植民地主義との関連性、先住民・移民間の戦争の記憶の葛藤などの点に着目して、日本人コミュニティの形成について考察する。